外構工事とは、住宅などの建造物の敷地内に属する玄関やフェンスなどの構造物の工事を指します。外観を構成する重要な工程であるものの、建物の完成後に本工事となり、計画が不十分で思わぬ出費や工期延伸が生じることもあります。本記事では、外構工事の特徴について解説しますので、注文住宅などを検討されている方はぜひ参考にしてください。
外構工事の種類
外構工事は、建物に付帯する玄関などの構造物に係る工事のことです。住宅だと、玄関や敷石、駐車場などが当てはまります。外構工事には複数の種類があり、それぞれ特徴や利点、欠点が異なるため、住宅のイメージと照らし合わせて検討しましょう。
オープン外構
オープン外構は、文字通り開けた空間を演出するもので、建物の周囲にフェンスなどを置かない設計です。
利点はフェンスなどを置かない分、費用を抑えることができ、工期も短い傾向があることです。また、敷居がないことから建物から解放感が得られます。しかし、その分周囲から建物が見られるため、他の外構と比較して防犯面で劣るでしょう。
クローズ外構
クローズ外構は、建物周辺をフェンスなどで仕切り、外部との境界線をはっきりと作る演出です。外部から建物の様子が見られないため、セキュリティの面で優れている外構です。
ただ、クローズ外構にはほかの種類よりも多くのフェンスを使用するため、費用が割高になり、工期もかかる傾向があります。また、外部との空間を遮断するため、閉塞感が生じることは否めません。
セミクローズ外構
セミクローズ外構は、オープン外構とクローズ外構の両方の特徴を備える設計です。建物周辺は基本的にオープン外構とし、プライバシーの保護を強化したい部分には塀を設けるなど、自由度が比較的高い外構となっています。
建物と周辺のデザインのイメージが明確で、好みのデザインにしたい場合に、効果的な外構と言えるでしょう。
エクステリア工事との違い
外構工事と類似の概念に、エクステリア工事があります。外構工事と同義ととらえる方もいるものの、両者の概念は若干異なります。エクステリア工事とは、建物外部の空間全体の設計を適用範囲としています。対して、外構工事はフェンスや玄関などの構造物単体の工事を指します。
つまり、各外構が複数集まって、エクステリアを構成するのです。そのため、構造物を含むエクステリア工事のほうが、外構工事よりも大きな手間がかかる工事です。
個人によっては、この用語を混同、もしくは同義として使っている方もいるため、両者の違いを明確にして、思わぬ誤解を生まないようにしましょう。
外構工事で失敗しないためのポイント
外構工事は、基本的には建物自体の工事のあとに本工事が開始されるため、内装よりも後回しにされることもあります。計画をもたずに進めると、予算越えや工期の延伸などのトラブルになりかねないため、以下のポイントを意識して、計画的に進めることを心がけましょう。
完成後のイメージをもつ
建物の敷地を含む、完成後のイメージを明確にもつようにしましょう。たとえば、住宅は建物単体だけでなく、周辺の庭も含めてデザインが重要となります。建物に心血を注いで良いものを建てても、周辺のデザインがみすぼらしいと、せっかくの高品質の建物が台無しとなります。
そのため、内装と外装をセットで考え、住宅全体のコンセプトを明確にした上で、工事依頼を行うようにすると、後の後悔を防止することができます。
明確な目的をもつ
工事依頼の前に、工事の目的を明確にしましょう。外構工事の有効性は住居人の目的によって異なるため、目的の伝達や整理を怠ると、思うような結果につながりません。
たとえば、家族のプライバシーを保護したいという目的であるにもかかわらず、費用を抑えるためにオープン外構としてしまうと、本来の目的から逸脱した設計となってしまいます。理想の住まいを実現するため、外構の目的を明確にした上で工事依頼をするよう意識しましょう。
導線などの利便性を考慮する
導線といった利便性の考慮も、外構工事には欠かせない要素です。たとえば、玄関から駐車場や郵便受けの距離が遠ければ、都度手間がかかります。しかし、郵便受けなどは玄関に近いほど、配達員が家の敷地に入ることになるため、プライバシー保護のための塀などの設計を入念に考える必要があります。
このように、どの要素を大事にするかによって、外構のデザインは大きく異なります。住人が満足できるよう、利便性の高め方を議論して進めることがおすすめです。
まとめ
本記事では、外構工事の特徴について解説しました。外構工事は、住宅などの建物周辺の構造物の工事であり、住宅全体を構成する重要な要素です。住宅の外観やデザインに影響するだけでなく、設計により導線などの利便性にも影響が出ます。
重要なことは、建物とエクステリアを総合的にイメージして、どのようなコンセプトにしたいかを明確にすることです。計画的に構想を進め、納得のいく住宅作りを行えるようにしましょう。本記事により、外構工事の理解が深まれば幸いです。