生垣にはどんなメリット・デメリットがある?目隠しフェンスとの違い

公開日:2023/12/15最終更新日:2024/08/02

生垣

家を建てた時には庭や家の中が丸見えにならないよう、目隠しとして、生垣やフェンスを設置するのが一般的です。近年ではフェンスを設置する家が多い傾向にありますが、家の景観に緑をプラスしたい方におすすめしたいのが生垣です。ところで、生垣にはどんなメリットがあるのでしょうか。デメリットや、目隠しフェンスとの違いも解説します。

目隠しに最適?生垣とは

生垣とはどんなものを指すか知っていますか?普段の生活で目にしても、詳しくは知らないかもしれません。

生垣は家の目隠しに最適なものです。目隠しフェンスとの違いについても把握しておきましょう。

生垣とはどんなもの?

生垣は簡単にいえば、樹木を用いて作った垣根を示します。垣根は竹や木を使って作った壁のことです。

竹を並べて、縄で編んだ垣根が昔の主流でした。この垣根を、丈の低い樹木を並べて植え、作り上げたのが生垣です。

漢字のとおり、生きた植物で作る垣根が生垣ということになります。

目隠しフェンスと生垣の違い

家の目隠しとして、生垣と同様の役目を果たすものに、目隠しフェンスがあります。目隠しフェンスは、やや高さのあるフェンスで、1.5〜2mほどの高さが一般的です。

ブロック塀の上に設置するものや、フェンス単独で設置するものがあり、材質は木製、アルミ製、樹脂製などさまざまな種類があります。しかし、生きた植物である生垣に比べ、雨風にさらされることによる劣化が避けられないのがフェンスの欠点です。

また、生垣は樹木の隙間から風を通しますが、目隠しフェンスは商品によっては、風通しが悪くなることがあります。風通しを考え、隙間の広いものを選ぶとプライバシーが守られなくなるので、設置には十分な検討が必要です。

また、費用面ではフェンス本体の費用だけではなく、設置費用がかかります。ブロック塀を使用する場合には、さらに費用が追加されるでしょう。

生垣を作るメリット・デメリット

生垣とは、樹木を使った目隠しであることがわかりました。目隠しのスタイルをどんなものにしようか迷っている方は、生垣を作るメリット・デメリットも気になるでしょう。

設置費用も決して安くはないので、後悔しないようじっくり検討してください。

生垣を作るメリットとは?

生垣のよいところは、まず自然に目隠しができるところでしょう。高いフェンスで隙間なく囲ってしまうと、近隣の住人から「警戒心が強くて、近づきづらい」「そんなに家を覗かれたくないのかしら?」と不快な気分にさせてしまう可能性があります。

生垣は庭の緑にも馴染み、自然な目隠しが可能です。また、生垣は季節によって色や形態が変化します。

夏には緑が美しく茂り、秋には紅葉するものもあるでしょう。四季の移ろいを楽しめるのも生垣の魅力です。

さらには、フェンスは地震の際に倒壊するリスクがあります。一方、土に埋まった樹木の生垣は倒壊しにくく、仮に倒れてきたとしても、低木であることから大きなけがや被害につながりにくいでしょう。

防犯面でも、フェンスは乗り越えやすいのに対し、生垣は登りにくいことから、不審者が入り込みにくいのがメリットです。葉は触れるとガサガサと音がする特徴からも、セキュリティを高められます。

生垣にはデメリットもある?

生きた植物であることから、多くのメリットがある生垣ですが、逆にデメリットになってしまう部分もあるので注意が必要です。

たとえば、夏には葉が生い茂って、枝が伸びてくることがあります。秋には枯れ葉が大量に落ちることもあるでしょう。枝葉が道路側に伸びてきて、人の通行を妨げたり、通行した車にキズを付けてしまったりする可能性があります。

また、植物には害虫が付く可能性があります。メンテナンスを怠ってしまうと、害虫によって生垣の樹木が病気になり、枯れてしまったり、他の植物に病気がうつったりすることがあります。

せっかく目隠しとして生垣を作ったのに、木が枯れ、隙間ができてしまえば、目隠しの効果も半減してしまいます。

生垣を作るときのポイント

メリットもデメリットもありますが、フェンスでなく生垣を作りたいと思ったら、どんなことに注意したらよいのでしょうか。ここでは、作ってよかったと思える生垣にするためのポイントをご紹介します。

生垣に使う樹木の選び方とは?

生垣に使う樹木は、一年中、緑の葉が茂る常緑樹を選ぶとよいでしょう。

また、生垣を設置する環境にも配慮が必要です。日陰や寒さに強い、雨風に強くへたりにくいといった特徴にも注目すれば、枯れにくく、長く美しさをキープできます。

さらに、目隠しに高さが欲しい場合には背がぐんと伸びる植物を選ぶなど、理想の生垣を具体的にイメージして樹木を選ぶとよいでしょう。

住宅の外観や庭に馴染む生垣づくりが大切

生垣は、住宅の外観や庭の雰囲気に合ったものを作りましょう。西洋風の家に合う樹木と、瓦屋根の日本家屋に合う樹木は異なります。

また、生垣はさりげなく目隠しができるところがメリットです。庭のテイストに合った樹木を選べば、生垣だけが浮いてしまうこともなく、庭の一部のように馴染むでしょう。

隣の家との境界に設置するときは注意!

隣の家との境目に生垣を設置するには、実は注意が必要です。自分の敷地内の枝や葉の刈込はできますが、生垣が境界線上にあると、反対側の刈込ができなくなってしまいます。

隣の家の敷地に入らないと手入れができないのは、たいへん不便です。できれば、外側に刈込ができるような。

目隠しフェンスの落とし穴と解決策

目隠しフェンスの落とし穴としては、完全に目隠しすると逆にリスクが高まる、台風の被害を受けやすい、日当たりが悪くなる点が挙げられます。ここからは、そんな落とし穴と解決策についてご紹介しますので、参考になさってください。

目隠しフェンスの3つの落とし穴

まずは、3つの落とし穴について詳しく解説させていただきます。

① 完全に目隠しすると逆にリスクが高まる

完全な目隠しはプライバシーを守る一方で、思わぬ危険を招く可能性があります。外部からの視線を完全に遮断すると、不審者の接近に気づきにくくなることもあるため、注意が必要です。

たとえば、フェンスの向こう側に不審者がいても、家の中からは気づきません。犯罪のリスクが高まる可能性があるので、充分に検討する必要があります。

また、完全な目隠しは近隣とのコミュニケーションを阻害し、地域の安全性を低下させる可能性が高いです。

② 台風の被害を受けやすい

目隠しフェンスは効果を高めるために板と板の間隔を狭くすると、風のとおりが悪くなり、強風時に大きな力を受けやすくなります。とくに台風シーズンはフェンスの倒壊リスクが高まるため、注意が必要です。

実際に台風による被害の多くが目隠しフェンスで発生しています。倒壊したフェンスは、家屋や車両に損害を与える可能性があるだけでなく、人身事故の原因にもなり得ます。

③ 日当たりが悪くなる

目隠しフェンスを設置すると、庭の日当たりが悪化する可能性があります。とくに高さのあるフェンスを設置すると、庭の植物に充分な日光が当たらなくなる可能性が高いです。

また、日当たりの悪化は庭の使用感にも影響するほか、家の中まで日光が入りにくくなり、室内の明るさや温度にも影響を与える場合があります。

目隠しフェンスの落とし穴の3つの解決策

目隠しフェンスの落とし穴の解決策としては、完全な目隠しは避ける、風とおしのよいフェンスにする、フェンスの高さを適切にすることが大切です。

ここでは、3つの解決策について解説します。

① 完全な目隠しは避ける

完全な目隠しによるリスクを回避するためには、部分的な目隠しを検討しましょう。たとえば、フェンスの上部や下部に隙間を設け、外部の状況を確認できるようにします。

隣家との境界線上に設置する場合は、隣人と相談の上で適切な高さや設計を決定してください。透過性のある素材や格子状のデザインを採用することも効果的です。

② 風とおしのよいフェンスにする

台風や強風による被害を防ぐためには、風とおしのよいフェンスを選びましょう。たとえば、板と板の間に適度な隙間を設ければ、風の圧力を分散できます。

また、風をとおす特殊な構造をもつフェンス製品も市場に出回っています。これらの製品は見た目こそ完全な目隠しでありながら、風をとおす工夫がされている逸品です。

風とおしと目隠し効果のバランスを考慮したフェンスを選びましょう。

③ フェンスの高さを適切にする

日当たりの問題を解決するにはフェンスを適切な高さにしましょう。

庭の植物の配置や種類を考慮し、それぞれの日照条件を満たせるよう高さを決定します。また、透過性のある素材を上部に使用すれば、日光を取り入れつつプライバシーを確保できます。

加えて、フェンスの向きや角度を工夫すれば、日光の入り方をコントロール可能です。庭の環境に合わせて最適なフェンスを選びましょう。

まとめ

プライバシーを守るナチュラルな垣根として、緑や植物が好きな方にも生垣はおすすめです。季節ごとに葉の色を変える生垣は、住宅の印象も変えてくれます。

日々のメンテナンスも慣れれば、大きなデメリットに感じることは少なくなります。街に緑を増やす取り組みが行われる市区町村では、生垣を設置する際に補助金が交付される場合もありますので、設置する前に確認してみましょう。

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