平屋は建物全体が視界に入りやすいため、外構デザインによって住まいの印象が大きく変わります。しかし見た目だけを重視すると、プライバシーや防犯面に課題が生じたり、予算オーバーになったりすることもあるでしょう。この記事では平屋に適した外構の種類や費用の目安、後悔しないための注意点を解説します。外構計画をしっかり行い、美しく機能的な住まいを実現しましょう。
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平屋の外構の特徴と重要性
家づくりは建物の外観や住宅設備、間取りなどに目が行きがちですが、実は住まいの印象を決定づける重要な要素として外構があります。平屋は建物全体が一目で見渡せるという特性があるため、外構デザインが家の第一印象に与える影響はとくに大きいといえるでしょう。
適切な外構計画によって、住まいの価値を大きく高められます。また、室内から眺める外の景色や、屋外空間の使い勝手にも直接関わってくるため、生活の質にも密接に関係するのです。
外構には主に3つの役割があります。ひとつは「住まいの顔」として訪問者に与える第一印象を形作ることです。
2つ目は「生活の安全性」を高め、外部からの視線を適切に制御する役割があります。3つ目は「屋外生活空間」として、日常をより豊かにする機能です。とくに平屋では、これらの要素が住環境の質を大きく左右します。
平屋の外構計画を入念に行うことで、見た目の美しさと暮らしやすさを両立した住まいになるでしょう。
外構工事の3つのタイプとそれぞれの特徴
外構は大きく分けると3つのタイプがあります。それぞれで見た目の印象やプライバシー性、費用が異なるため、自分の生活スタイルや好みに合わせて選ぶことが大切です。平屋に最適な外構を選ぶために、各タイプの特徴を詳しく見ていきましょう。
オープン外構の特徴
オープン外構とは、家の周囲に塀やフェンスなどを設置しない、または設置しても高さを抑えることで全体が見渡せるようにした外構のことです。開放感あふれる空間を作り出せ、家に光や風を取り入れやすいという環境面でのメリットがあります。工期が短く費用も抑えられることから、近年採用するケースが増えているのが特徴です。
一方で、敷地内に侵入されやすいという防犯上のデメリットがあります。また、室内の様子が外から見えやすくなるため、プライバシーの確保が難しい点に注意が必要です。
クローズ外構の特徴
クローズ外構とは、周囲に比較的高い壁やフェンスを設けて、敷地内外を明確に分ける外構です。外部の目線を気にすることなく庭やテラスなどで過ごせるため、落ち着いた空間づくりが可能になります。また、幼い子どもやペットがいる場合、道路への飛び出しを防ぎやすいという安全面でのメリットもあるでしょう。
ただし、敷地が狭い場合は圧迫感が生まれやすく、一度不審者に侵入されると外部から中の様子が見えにくいため、防犯対策が必要です。また、ほかのタイプと比べると費用は高めになる傾向があります。
セミクローズ外構の特徴
セミクローズ外構とは、オープン外構とクローズ外構の特徴をあわせ持つ中間的なタイプです。リビングや浴室など視線が気になる部分は高い塀や植栽でカバーしつつ、玄関まわりはオープンな雰囲気にするといった使い分けができます。
部分的に透過性のある素材を使ったり、高さを調整したりすることで、外部との程よいつながりを保ちながらもプライバシーを確保できるのがセミクローズ外構の魅力です。
外構工事における予算の目安
外構工事の費用は、一般的に住宅建築費の10%程度が目安といわれています。しかし、選ぶ外構のタイプや敷地の広さ、こだわるデザイン、依頼先によって金額は大きく変動するでしょう。
平屋の外構計画を立てる際には、あらかじめ予算を考慮しておくことが重要です。ここでは、先に紹介した3つの外構タイプ別に、おおよその工事費用を見ていきます。
オープン外構の予算の目安
オープン外構は、フェンスや塀などの設置を最小限にするため、比較的費用を抑えられるのが特徴です。工期も短いというメリットがあります。
オープン外構の費用相場は50万~150万円程度です。シンプルで開放的な外構を望む方や、予算を抑えたい方に適しているといえるでしょう。
クローズ外構の予算の目安
クローズ外構は、高めのフェンスや塀などで敷地を囲むため、多くの建材が必要となります。また、工事の規模も大きくなるため工期も長くなり、その分費用も高くなる傾向があるでしょう。
クローズ外構の費用相場は200万~300万円程度と、ほかのタイプと比べて高額になることが多いです。プライバシーや防犯性を重視する場合は、この費用を考慮した計画が必要となります。
セミクローズ外構の予算の目安
セミクローズ外構は、オープンとクローズの中間的な位置づけのため、フェンスや塀で囲う範囲によって費用が大きく変わります。一般的な費用相場は120万~250万円程度です。
隠す面積が増えるとクローズ外構に近づき費用も上がります。逆に少ないと、オープン外構に近い費用で済ませることが可能です。セミクローズ外構は、バランスの取れた外構を求める方に人気のあるタイプといえるでしょう。
平屋に適した外構デザインのポイント
平屋の魅力を最大限に引き出すためには、建物の特性を理解した外構づくりが欠かせません。ここでは、平屋に適した外構デザインの重要なポイントを解説します。
まず考えるべきは「外構の目的の明確化」です。外からの視線を遮りたいのか、駐車スペースを確保したいのかなど、目的を明確にすることで適切なスタイルや設備を選びやすくなります。また、予算や手入れのことも含めて現実的な計画を立てられるでしょう。
「外観との一体感」も重要です。平屋は建物全体が見渡せるため、外構と外観の調和がとくに際立ちます。外観の雰囲気に合った素材や色調を選ぶことで、美しい佇まいが実現できるでしょう。
また「平屋の高さを意識した選択」も考慮すべき要素です。平屋は建物自体の高さが抑えられているため、外構の高さにも注意が必要となります。適度な高さの植栽や低めのフェンスを選べば、開放感を維持しながらもプライバシーを確保できるでしょう。
「採光と自然との調和」も平屋の外構計画において欠かせません。自然光を効果的に取り入れ、テラスやウッドデッキなどで屋内外のつながりを演出することで、より快適な住空間を創り出せるでしょう。
平屋の外構工事で失敗しないための注意点
平屋の外構工事は、家の印象を大きく左右する重要な要素です。失敗しないための注意点をいくつか押さえておきましょう。
まず「あらかじめ予算を決めておく」ことが重要です。フェンスや植栽、ブロックなどは使用範囲によって価格が大きく変動します。早い段階で総額の予算を決め、優先順位をつけておくことで予算オーバーを防げるでしょう。
次に「プライバシーとセキュリティへの配慮」です。平屋は外からの視線が入りやすいため、適度に視線を遮る工夫が必要になります。窓の位置や大きさとあわせて計画することで、プライバシーを保ちながらも圧迫感のない住空間を実現できるでしょう。
「建物と合わせたトータルコーディネート」も大切です。外構は建物のデザインやライフスタイル、生活動線を考慮して計画しましょう。また「室内とのつながり」を意識することで、内外の行き来がしやすい平屋の特性を活かせます。
最後に「メンテナンスのしやすさ」も考慮に入れておくと、長い年月にわたって美しい状態を維持できる外構になるでしょう。
まとめ
平屋の外構は、住まいの印象を大きく左右する重要な要素です。オープン、クローズ、セミクローズという3つのタイプから、プライバシーや開放感のバランスを考慮して選びましょう。費用は幅があり、選ぶタイプによって大きく異なります。平屋に適した外構デザインでは、建物との一体感や高さのバランス、採光と通風の確保がポイントです。失敗しないためには、あらかじめ予算を決め、建物とのトータルコーディネートやメンテナンス性も考慮することが大切となります。平屋の特性を理解し、計画的に外構づくりを行うことで、魅力的で快適な住まいを実現できるでしょう。